これは陰占・陽占共に偏った宿命ですが、ここでは同星過多の点に絞って勉強します。
同質の星が複数あれば、それは人体図の特徴となります。特にブッシュ大統領のように同質の星が3つ以上ある場合(・牽牛星が3つ。以下、車・牽)、人体図の大半を車・牽が占めているわけですから、この星を消化しているかどうかで、宿命を活かせるかどうかが決まります。
同星過多の宿命を消化するには、次の要素が重要です。
A.偏った生き方をする
B.目標を定めたら余程のことがない限り変えない
C.一家で同じ生き方をする
Aについて
同星過多の宿命は、何でもかんでもうまくやろうとしてはいけません。まずは得意なものを1つ作ることです。
1つの本能に偏っているのですから、自分はこれは得意だがこれは苦手であるという位で丁度良いのです。そのため仕事で言えば専門家・専門職に合っています。ブッシュ氏の場合も大統領としてすべて自分で決断しようとすると破綻します。得意な分野と苦手な分野がある位の方が良く、そして苦手な分野は他人に任せればうまくいきます。
人間関係も同様で、誰とでもうまくやろうとすると却ってうまくいかなくなります。
Bについて
信念を強く持つことです。一旦決心したら、その姿勢を変えないことです。
また、こういう宿命は良くも悪くもその星の回る時が人生のターニング・ポイントとなります。車・牽の回る時の決断や過ごし方で、人生の方向性が決まってしまいます。
ブッシュ氏は若い頃アルコール中毒になったそうですが、その原因は29才で石油会社を始めたことです。丁酉の大運で中殺の時です。仕事中殺で父中殺(十二親干法)にもなります。ここで始めた会社がうまくいかず、事業でも成功した父(元大統領)の影にも悩まされ、お酒に溺れたといいます。この大運で父と同じ成功を収めることは算命学的に不可能です。
しかしその後、奇跡的な立ち直りを見せます。その第一歩がローラ夫人との結婚です。77年丁巳年8月に出会い、同年11月に結婚しました。の年であり、また大運天中殺が終わった直後のことです。私もこんな見事なタイミングの結婚はほとんど見たことがありません。この結婚により人生の土台が定まり、車・牽を活かす基盤ができます。
結婚後もアル中気味だったブッシュ氏が、40才の誕生日に禁酒を誓ったことは有名ですが、これは86年丙寅年・牽牛星の出来事です。この年は不調だった石油事業からも撤退しました。牽牛星の年に実に良い決断をしたものです。
そして州知事時代の97年丁丑年頃・に大統領選の出馬を決意したと言われます。
以上の時の決断は最後まで貫くことです。仮に結果がうまくいかなくても、その決断を貫くことで人体図が消化され運勢が向上するからです。
Cについて
一般に、同質の星を3つも活かすのは難しいものです。そのため、家族がその人に協力してくれると、星の消化に大変有効な味方となります。特にブッシュ氏の場合は、両親と妻の場所に車・牽があるため、この人達に支えてもらえると、最も有効です。
そして3人とも車・牽が主星です。この3人が支えてくれれば、まさに鬼に金棒ですこの生年月日でここまで条件の調う人はまずいないのではないでしょうか。
算命学的には、ブッシュ氏は一家の気の集約であり、家系の傑作とも言える力を発揮できることになります。
では何故こういう方が大統領に選ばれたのでしょうか。ブッシュ氏に敗れた2人の人体図を見ると良くわかります
2人とも守備の星・貫索星が多く、攻撃の星がありません。これに対しブッシュ氏は攻撃の星が多く、守備の星がありません。この違いは国の方向性に直結します。ブッシュ政権なら攻撃重視の政策となり、ゴア、ケリー政権ならば守備重視の政策となります接戦となった2回の大統領選は、アメリカ国民に攻撃か守備かを問う選挙だったと言えます。(ちなみにベトナム戦争を本格化させたジョンソン大統領は3つです)
車・牽が多い人体図は攻撃対象または全精力を注げるような目標が必要です。
ソ連崩壊以来、唯一の超大国としての目標もしくは攻撃対象が必要だったのです。国がそういう目標を求める時代であったということです。
そして同星過多といえどもこれほど強く攻撃の星を発揮できる人はそういません。そのため、ブッシュ氏は今後も反米勢力との対決姿勢を貫きそして勝利することになると思います。
朱学院副校長 佐藤直樹
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