一つの組織(会社・国家等)の行く末を占う場合、創立者の運勢が重要となります。もし、創立者が既に亡くなっている場合であっても、その運勢は、組織が存在する限り影響を及ぼし続けます。
今回はやや難しい内容ですが順に勉強してみましょう。
朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)の創立者である故・金日成主席です。
まず、陰占を見て下さい。上級生の方ならお分かりになると思いますが、非常に上格の宿命です。守護神・壬甲が両透する科挙の宿命です。さらに従生財格一点破格ともなる宿命です。詳しくは省きますが、これだけ見事な宿命はめったにありません。この方が大成功者としての人生を歩んだのは、この強運に支えられたためでもあることは言うまでもありません。
ここから多少難しいのですが、この宿命が科挙・従生財破格という強運を備えているとしたら、宿命のポイントとなる部分はどこでしょうか? それは年干支・壬子です。壬水は第一守護神であり、子水にその根があります。
さらに、従生財破格が成立するためには、子辰の半会が水性に変化することが条件で、そのためには壬子がしっかりしている必要があります。 すなわち、年干支・壬子の活かし方いかんで運勢の成否が決まりますが、この宿命は生年中殺であり、壬子は中殺を受けています。ここにこの宿命のポイントがあります。
まず、両親の縁が厚く親の力を頼る生き方をした場合は、壬子が活きてこなくなり、たとえ上格であっても成功はできません。金日成氏の場合は14才で父を亡くし、父の遺志を継ぐように抗日運動に参加、共産党に入党しました。その生い立ちから、この宿命が成功へ至る土台ができたと考えてよいでしょう。
さらに、従生財破格は創業者運です。新しい時代を切り開くにはもってこいの宿命です。この宿命が親を頼らず新しい組織を創設したならば、まず成功は間違いありません。
ただし、ここには一つ問題があります。壬子は人体図では鳳閣星調舒星中殺です。つまり、子供・目下中殺です。そのため、子供縁が薄く、目下を思い通りにすることはできない宿命です。国家主席であっても、子供を後継者にすることはできませんし、又、自分の思い通りの組織(つまり独裁)はできない宿命です。もし、そういう道を歩んだ場合は、その組織は衰退していくことになります。
ところが、人体図を見ると、全ての星が循環し、子供・目下の場所に止まっています。ここに宿命自体の矛盾があります。つまり、子供が後を継げず、部下を思い通りにできない運勢でありながら、心はそれを望んでしまうということです。
さらにもう一つ問題があります。それは従生財破格は共産主義には向かないということです。従生財破格は財運の格であり、資本主義に向く宿命です。本来なら従生財破格の創業者が宿命を活かせば、その組織の財運は伸びていきます。しかし、この場合は共産主義国家であり、宿命とは異なる国家形態であるため、本人の財運は伸びても、国家の財運を伸ばすことはできません。仮に北朝鮮が資本主義国家であったならば、目覚しい経済発展を遂げていたことでしょう。
以上のことから、共産主義・独裁主義を貫き、さらに自分の子供を後継者にしたならば、壬子が活きてこなくなり、組織は衰退に向かいます。そして、その答えが出るのが、大運で壬子・癸丑が回る所です。
参考までに、そごう会長だった水島氏が同じ宿命です。
金日成氏とは世界こそ違うものの、この方も社内では独裁者というやり方を貫いてきましたが、そういうやり方をすると、結局は失敗に終わります。その答えが出るのが、77才~壬子・87才~癸丑の20年間です。丁度77才頃からバブルの崩壊が始まり、その後、経済の後退とは逆に店舗を拡張したことが裏目に出て、2000年にグループ全体で1兆8700億円もの負債を抱え倒産に至りました。
金日成氏の場合も、基本的には同様の結果となります。つまり、国家を私物化してきたつけはこの20年間に現れます。事実、壬子の大運に入った頃から北朝鮮の経済難がささやかれ始め、1995~96年の大洪水で飢饉に見舞われ、その後も経済・食料事情は年々悪化していると言われます。
この禍を避けるには、77才になる前に引退し、さらに自分とは無関係の人間に後を託すことです。
しかし、それができなかった今(82才で他界)、あと残されている手段は、他人の手に政権を委ねることです。それもできずに、もしこのままいくと、現体制は2009年までに崩壊を招くこととなるでしょう。
朱学院副校長 佐藤直樹
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